We should have an idea.

例えば、数年前に初めて眼鏡をかけた男がいる。
その時の違和感はとても大きなものだった。
しかし3日もするとその違和感は次第に薄れ、今では体の一部だ。

彼は毎日眼鏡越しに世界を見ているが、その眼鏡自体を目を凝らして見たのはずっと前だ。
視界から外れることなどめったになく、いつも文字通り目の前にある。
にもかかわらず、その存在を日常で気にすることはほとんど無い。

ずっと近くにあるものは意識して見ようとしない限り必ず見過ごす。

いつも通りの生活を目を凝らして観察すると、様々なことに気付く。
気にとめていなかったところに注意が向いて、物事の存在や状態を知ることになる。

当たり前の話だが、
全てのものは「見ようとしなければ、見えない」。

視界に映っていながら、見ていないということが往々にして起こる。


そして、
前に述べた通り、万物は移ろい変わり行く。
その中でも、めまぐるしく変わり続けるのが、人の心だ。

その心の持ち主すらも気付かない程の早さで、矢継ぎ早に変化を繰り返す。
なんとなくで毎日を過ごしていると、例外なく自分の心を見失う。

周りの環境で、性格が変わってしまうことはよくある。
ひと月ぶりに会った友人が、以前とは別人になっていた、なんてことも起こる。
数ヶ月もあれば、人は、鬼にも仏にもなり得る。

どこまでも果てしなく広がる、真っ白な世界を歩いているようなものだ。
あるのは地面だけで、目印となるようなものは何もない。
方向も、距離も存在しない。

最初に立っていた場所から、どの方向に、何歩進んだかわからない。

だから私達は、自身の拠り所となる指針を定め、目印を創る。

その先は、それに沿った道を頑なに守り続ける。
ことあるごとにそこへ立ち返り、
日々変化する自分の心と照らし合わせ、道を外れていないか、確認を繰り返す。

私達はそれぞれ、そういった自身についてのこうあるべきだという根本の考え、
つまり理念を持たなければならない。
by room0126 | 2010-10-30 21:59 | Writing
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