value.

 ほとんどの人と同じように、その男もいくつかの苦しみや
 悲しみ、困難を経験する。 


 人生が、男を惑わす。



 人生最大の困難を知るたびに、彼は考える。




 


 「これは、神が我に与えし試練か、
  それとも神にとってはただの遊び、いたずらか。
  いや、きっと何か意味があるはずだ。
  やはり間違いない。
  これは与えられるべくして与えられた試練だ。」

 
 果たしてそうか。


 人は何に対しても、その意味を知りたがる。

 いい意味でも、悪い意味でも、それの、とりあえず意味を知りたがる。

 しかし、意味なんてものは、後付けである。
 人が勝手に後からこじつけのように意味をつけ、
 それを己で信じ込む。
 それでようやく、彼ら自身でつけた意味により、納得する。
 
 何でもその意味を知りたがる彼らは、
 実は何も意味が無い、ということをごまかし、覆い隠す。 
 その、真実を恐れて。
 それはあるいは、
 「自分自身に意味があるのか?」という自分の中に
 昔からあるその疑問と話合わないようにするためなのかもしれない。 
 
 何よりも意味を求める彼らは、それを見つけたと錯覚するが、
 その実、知らず知らずの内に自らそれをつくっているのだ。
 



 その男はある時こう呟いた。


  

    「全てに、意味など 無い。」
 


 
 うっすらと浮かんでいたその言葉を口に出してみた途端に、
 そもそも、「それ自体に」、意味などなかったのだ、

 と、そう思った次の瞬間に、彼は、静かに落ち着いた。
 
 彼と、彼の中の彼と、 二人。




 意味は、それ自体にあるのではない。
 そいつ自体は教えてはくれない。
 知る、ことですらない。
 全ての意味は、自分自身がつけるものなのだ。

 
 
 “ 意味付ける. ” とは、

 “ 物事に意義・価値を与える.” ということ。

 そう。
 その意義・価値を与えるのは他ならぬ、その男自身。




 



 『 ただ、それだけのこと 』



 それをそれとして、
 
 ありのままを自然に受け止め、消化する。
 
 ありのままを、自然に。
by room0126 | 2007-01-14 02:35 | Writing
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