It changes faster than light.



     『   あのとき、あんたが過ごしてたあの日々を思い出せ。


         あの屈辱を、あの憤りを、あの後悔を、あの悲しみを -。


         あの喜びを、あの望みを、あの決意を、あの夢を -。


         あんたは、あれ程までのあの想いを、 「 忘れた 」 、とでも言うのか?   』























       僕たちは、 忘れてしまう。
























この世界の決まりはたったひとつだけだという。

そのたったひとつの、“ 時間 ”というルールの中に、あいつは棲む。




僕が、決して放したくない、とても、とても大切なそれをみつけ、

この胸に抱きしめたその時。





その時から。

いや、そのずっと前から。


あいつは見据えてる。





ゆるぎない確信に満ちた、影。

光の何千倍もの速度の中に棲むあいつの姿は、決して見えない。

その気配さえ、覚らせない。



向こうからは何もかもが見えている。

見張られている。

いや、その必要もない。

向こうから見れば、止まってるようなもんだ。




僕が瞬きをした瞬間に、

とても大切に抱きしめていたはずのそれは、もう、 無い 。





あいつにしてみれば、楽な仕事だ。

容易すぎるそれを、無表情で繰り返す。

こなした数なんて数えちゃいないし、数えられもしない。

あいつが失敗した事は、今までに、ない。




あいつの仕事は完璧だ。

音もなく忍び寄り、何の痕跡も残さない。

僕らの想像も及ばない速度で掻っ攫う。


この手に大切に握り締めているそれを抜き取られたとしても、

僕らは気づくことさえできない。












しかし、だ。


あいつの手に渡ったそれを、

もう一度、みつけるときってのがある。


不意に、思い出すことがある。

忘れていた、ということに、ふと気付くときがあるんだ。(!)




そうであるからこそ、この話ができる。

もし彼の仕事がそれを “消し去ってしまう” ことだとしたら、この話はできない。



もしかすると、僕の傍から持ち去ってしまうのではなく、

覆い隠しているだけなのかもしれない。


この手から抜き取られていたのではなく、

僕は、ずっと握り締めていたのかもしれない。





じゃあ、それがわかれば安心か?

いや、そうじゃない。

それがわかったところで、状況は変わらない。



一瞬でも、あいつにとっては膨大な時間だ。

その隙を、決して、見逃さない。

一瞬でも、油断したら命取りだ。

いつだってそうだ。

それは変わらない。








それに、いつかほんとうに奪われてしまうかもしれない。

思い出せなくなってしまうかもしれない。

失くして、しまうかもしれない。











だから、僕はきっとこのことを話し続けるだろう。


                     忘れないように。

                          失くさないように。


                                        持ち続けるために。
by room0126 | 2008-08-16 05:59 | Writing
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